<長期運転資金のチェックポイント>
今回は長期運転資金、特に銀行の審査方法のチェックポイントについてお話して いきます。
長期運転資金とは借入期間が1年以上の融資の事を言います。
また、前回の短期運転資金でも触れましたが、運転資金の返済期間が1年を超える という事は赤字補填資金と見られることになりえます。
しかし、実際のところ、銀行員が融資の勧誘をする際には短期運転資金で勧誘を することはありません。
なぜ銀行員は短期運転資金を勧誘しないのでしょうか?
それはもちろん各銀行の人事考課の体制にもよりますが、通常ですと、短期資金の 場合は渉外係の人事査定には勘案されません。
つまり、短期融資を貸し出したとしても、その営業マンに実績として評価の対象に ならないということです。
実際に私が在籍していた銀行も短期運転資金(プロパー貸付)の場合は実績の対象には なっていませんでした。
本来であれば融資申込みの段階で使途(お金の使いみち)、財源(返済の原資)、 保全(保証や担保)を総合的に判断しなければならないのに、上記の理由で長期資金を 取扱う傾向が多いです。
また、それ以外にも理由が1つあります。
短期資金は1年以内で返済しなければならないので、短期資金で利用した場合は 当然返済も1年以内で終了します。
1年で返済されてしまうと銀行は実に困ります。
なぜ困ると思いますか?
例えばA社が4月1日に1千万円を借入れて、毎月の返済で元本を毎月20日に 84万円、最終回に76万円を返済した場合、1年後の3月20日には銀行に とっての貸付け残高は0円になります。
ところが、同じ1千万円を借入期間5年で毎月20日に元本を16万7千円返済した 場合、1年後の貸付け残高(残りの債権)は799万6千円です。
返済期間1年間の短期融資と5年間の長期融資にした場合の残高の差額は実に 799万6千円にもなるのです。
これを見れば歴然ですが長期にする事で融資残高も残り渉外行員、支店長、支店、 しいて言えば銀行本体も安定した利息による収益が見込めるのです。
銀行の主な収入源は、貸付けたお金に対して、お客様からもらう金利です。
一般の会社が自社の商品を一生懸命売っているのと同じように、銀行の営業マンは、 お客さんに対して、融資をして、その利息で会社を経営しているのです。
銀行に対して特別なイメージを持ちがちですが、同じ株式会社なのですから、 一般企業となんらかわらないのです。
銀行は上記のように自分たちの勝手な理由で長期資金で融資をしますが、お客様が 本当に困っている時はいろいろな理由を付けて融資をしてくれません。
これが本来あるべき姿で短期融資と長期融資をお客様からのヒヤリングを元に適正に 融資されていれば、それだけでもかなりの企業が倒産しなくて済んだのかも知れません。
よく銀行を揶揄する場合はこのように言いますよね。
「銀行は晴れた日に傘を貸すが、雨の日には傘を貸してくれない。」なんて・・・・。
それでは今日の本題に入りますが長期資金の場合の審査手法ですが返済財源が重視されます。
長期資金の場合は短期資金の場合のように返済財源は売上という 考えとは違い、『当期利益+減価償却』でみます。
既存の借入の毎月の返済額を12倍(12ヶ月分)と今回申し込みをする融資の毎月の 返済額を決算月まで掛けて加算したものが『当期利益+減価償却』の範囲で収まるかどうかという事です。
これを簡単な公式にしますと以下のようになります。
【返済財源=当期利益+減価償却>既存借入の年間返済額+新規借入の決算月までの返済額】
ここが今回のポイントです。
赤字補填の資金なので返済財源がでるというのは稀です。
何といっても赤字補填の資金ですから返済財源がそもそも出ると言うのはおかしいということになります。
もちろん稀に売上が増加して利益も伴って拡大して返済財源が出るていうことも ありますが、私が今まで取扱ってきた案件においては殆ど皆無でした。
この返済財源がポイントになっていますので、今回借り入れる決算を含めて5年間の損益予定表を経営者からヒヤリングをして疎明資料を作成していきます。
ですが実際のヒヤリングでは返済財源がでないのに作成する長期損益予定表では財源が出るように作成しているのです。
要は実際の返済財源がなくても今までの返済状況が遅れていなかったり、保証人の 資産背景(土地や建物の不動産を沢山持っていたり、取引金融機関に定期預金を 1千万円以上していたり)があれば総合的に判断して取扱をしてくれます。
また、使途も大切になってきます。
基本的には外注支払、従業員の給料、材料の購入等が一般的ですが、借入金額の整合性を持たせるようにしなければなりません。
ちなみに運転資金としては、月商の3ヶ月分以内の金額であれば問題ありませんが、借入申込金額が月商の3ヵ月分を超えると銀行員はかなりの確率で疑ってきます。
最後は保全ですが、決算書の内容が良い会社は、今流行のビジネスローンという手段も 考えられます。
赤字企業の場合はもちろん保証協会付融資ということになります。 この保証協会付融資も国、都道府県、市町村の制度融資と一般保証や各金融機関との 個別契約をしている提携保証と5つの形態に分類されます。
しかしながら当の銀行員は「お客様に何の商品を提供すれば良いのか?」 ということを考えている方は少ないのです。
しっかりとお客様の事を考えて、適正な商品を進めていれば、保証協会の保証を 得られたのにというパターンを私は実務を現場でしていたので、嫌というほど 目にしてきました。
これが銀行の実際です。 そうならないためにも、お客様自身がこれからは、ある程度は保証協会のことに ついても学んでいかなければ、いざという時に大変な目に合うのは間違いない でしょう。
もちろん保証協会のことを学ぶのは大変です。
その場合は、専門家に相談してみるとか、お客様自身が信用保証協会に出向いて 相談してみるなど、専門の知識を持った相手に聞くことが近道かもしれません。
我々、RCSもお客様に対して、信用保証協会や銀行、国民生活金融公庫への 融資申込みに関する相談を多く受けております。
融資の申し込みを考えているが、どうすれば良いか分からない、少しでも融資が希望通りに通るように準備しておきたい、というお客様はぜひ、ご相談下さい。
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